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第9回 帝国ホテルは まだ死なず

〜 風間新太郎の私見30 〜

 会社の経営をしていると、小なりと言えども『ストレス』という心のアカが溜まってくる。
それで時々私は週末、手ごろな近さの都内のホテルに泊まり、リフレッシュする。今月(9月)は、半年振りに帝国ホテルにお世話になった。

 今月から制服が一新され、部屋も大部分リニューアルされ、駐車場の床の塗装まで塗りなおされているのには驚いた!・・・が、サービスはずいぶん低下してしまった。帝国ホテルとは、1980年に今の奥さんと結婚式を挙げて依頼の付き合い(一方的片思いだが…)だから、27年間、足掛け30年近くの変遷を見て来た。犬丸一郎社長が陣頭に立ち、気品と風格と歴史を漂わせ、我々庶民が近づき難かった雰囲気があった。それが、株式を「政商」小佐野賢二氏に買い占められ、その小佐野氏が社主だった国際興業が外資の手に渡り、結果、国際興業が持っていた帝国ホテル株式が外資の手に渡り、外見優先、効率優先になってしまったようで、残念に思える。プールサイドの緑に造花のプラスチックを置いたり、階段のコーナーの蔦も枯れないプラスチックなのは、手間は省けるだろうが、心を癒しに来る客の立場としては、味気なく感じていたが、他人の会社の経営をとやかく言うことはないし、競争で生き残る時代、必要な事でもあるのだろう。だがサービスは違う!省いちゃだめだ!

 私はチェックインした翌日、少し早く起きて皇居をジョギングするのが好きだ。
以前の帝国ホテルのフロントマンは、5時だろうが6時だろうが、姿を見かければ「おはようございます」、
「気をつけていってらっしゃい」と声をかけ、帰って来ればタオルを持って駆け寄り、「お帰りなさい、外はいかがでしたか?」
と会話があった。

 それが今回久しぶりに泊まって驚いた!
フロント横を通って玄関ドアに向かって行っても、フロントマンは仕事の手を休めることなく、チラッと姿を確認して「おはよう」の挨拶もなく、ジョギングから戻って来た時には、10人近くのホテルマンが働いていたが、まったく興味を示さず(トホホ…)。これでは泊まっていないジョギングスタイルのオッサンが入ってきても判断できないので、セキュリティー面でも大いに問題だな~と思いつつ、部屋へ帰った。

 帝国ホテルは、日本を代表するホテルだといっても、実態は外資、近くにはペニンシュラが進出し、リッツカールトンやフォーシーズン等には人気で遅れを取りつつある。人の引き抜きも激しいのだろうが、以前の大ホテルらしからぬ木目細やかなサービスが懐かしく思われると共に、自分の会社の社員達にも何が本質で、何で勝負しなければならないのか、(当社は、発注してくださったお客様の期待以上の品質の建造物を作って渡すこと)をもう一度教育し直そうと心に決めた。

 しかし、私は色々なホテルの中で、一番帝国ホテルが好きなので、老婆心ながら「支配人さんへの手紙」という封筒が部屋にあったので、「ホテルはサービスが命でしょ…」と書いてきた。

 総支配人からは型通りの「ご意見ありがたく…」と印刷したものが届いただけだったが、フロント課長の佐野さんだったと思うが、この人の対応は真剣そのものだった。私のような者の感じたこと、意見を聞く為に何度もTELしてこられ、一生懸命そのものだった。こういう人たちがいるから、また、行ってみようかなという気にさせるし、本当に実行されれば、やっぱり帝国ホテルはワサワサした、今流行の外資ホテルとは差別化された、日本を代表するホテルのホスピタリティーと威厳と自信を兼ね備えた「帝国ホテル」として蘇るのだろう。

 

2007.9.20  風間 新太郎

※平成19年9月21日、帝国ホテル株33%は、三井不動産が取得し、文字通り、日の丸を背負った日本を代表するホテルへ戻ることが決定した。

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